3. 段落で主張と根拠をつなぐ

セクションの中で主張と根拠をつなぐのが、段落である。一つの論点を示し、その論点を支える理由や資料を続ければ、読者は何を確かめながら読めばよいかが分かる。松浦と田村(2022)も、段落の冒頭で要点と範囲を示し、支持する情報を続ける書き方を論じている1

3.1 中心文を具体的な説明で支える

段落で何を論じるかによって、同じ資料でも説明する部分は変わる。会議についての「その場では質問しづらいので、後で議事録を読んで確認していました」という発言なら、質問のしづらさにも、会議後の確認にも注目できる。会議後の確認を論じるなら、その点を冒頭の中心文に置き、発言と解釈を続ける。

参加者Aによる会議内容の確認は、会議後にも続いていた。会議中に疑問が残った際の対応について、Aは「その場では質問しづらいので、後で議事録を読んで確認していました」と説明した。議事録は、この参加者にとって会議中の質問を補う確認手段になっていた。

冒頭の「会議後にも続いていた」を支えるのは、Aの「後で議事録を読んで確認していました」という発言である。最後の文では、発言に出てきた議事録を取り上げ、会議中の質問を補う役割を説明している。引用を「Aは議事録を読んだ」と言い換えるだけで終えず、どこから何を読み取ったかを示すことで、段落の主張につなげられる2

ここで示した三文構成は、どの段落にも当てはまる型ではない。文献を比較する段落なら、それぞれの文献の説明が必要になり、方法を報告する段落なら、対象と操作を具体的に記すことになる。その論点を理解するのに必要な情報がそろえば、冒頭を言い直すだけのまとめ文を加える必要はない。

3.2 段落の切れ目で論点を進める

一つの段落に必要な情報をそろえたら、文を読む順番にも目を向ける。直前の作例では、発言の中で「議事録」を示してから、次の文を「議事録は」で始めている。読者がすでに知った対象を文頭で受け、そこに「質問を補う確認手段」という新しい説明を加えているのである。文を並べるときは、先に示した情報から次の説明へ進めているかを確かめる。

段落が変わるときも、前の段落で分かったことを受けて論点を進める。議事録が確認を助けた事例の後に、記録があっても確認できなかった事例を取り上げるなら、「議事録があっても、疑問を解消できない場合があった」と始められる。これまでの説明が当てはまらない場合を示すことで、次に検討するのは確認が成立する条件だと分かる。「また」でつなぐだけでは、根拠の追加なのか、説明の限定なのかが伝わりにくい。

ただし、一つの主張の理由と作例まで別々の段落にすると、読者は離れた説明を結び直すことになる。前の文を具体化する例は同じ段落に置き、別の主張や限定へ進むところで段落を分ける。各段落の論点を短く書き出すと、同じ説明の繰り返しや、一段落に複数の論点が入り込んだ箇所を見つけやすい。


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  1. 段落の要点、範囲、支持する情報について、松浦と田村(2022)、第1〜5章を参照。 

  2. 引用の文脈、引用、著者の解釈をつなぐSQCについて、Weaver-Hightower(2019)、Chapter 6を参照。例文は、固定した三文構成を指定するものではない。