5. 記録を整理して分析する

記録を集めたら、研究で知りたいことに合わせて整理する。たとえば、窓口の担当者が仕事で何に困っているかを知りたいなら、複数の担当者の発言を話題ごとに整理する。仕事が決められた手順どおりに進んでいるかを知りたいなら、業務文書に書かれた手順と観察記録に残した実際の行動を比較できるように整理する。

時間がかかった段階を見つけたい

窓口の例では、責任者の確認を待つ時間が回答を遅らせているのではないかと考えた。これを調べるために、回答が翌日になった問い合わせAと、当日中に回答したBの対応履歴を並べ、どの段階の時間に違いがあるかを比べる。

問い合わせ 受付 確認依頼 確認 送信
A 月曜09:00 月曜09:40 火曜15:00 火曜15:10
B 木曜09:00 木曜09:40 木曜09:50 木曜10:00

受付から確認依頼までは、どちらも40分である。確認を得てから送信までも、どちらも10分である。大きく違うのは、確認依頼から確認までの時間だった。Aでは翌日の午後までかかっているが、Bでは10分で終わっている。

遅れた理由を知りたい

ここまでに、確認依頼から確認までに時間がかかる場合があることがわかった。さらにその理由を知りたい場合は、確認が進まなかった理由を調べることになる。

まず、完成した案の確認を待っていたのか、回答案の修正を何度も繰り返していたのかを区別する。回答案の作成履歴を見ると、月曜朝から送信までに修正の痕跡はない。また、担当者は確認を待っていただけと答えている。これらの記録から、Aでは完成した案の確認を待っていたと判断できる。

次に、完成した案の確認が遅れた理由を調べる。勤務予定と責任者の話によると、月曜は責任者が外出して確認できなかった。業務手順を確認すると、責任者の確認を受けてから送信する決まりがあり、代行者は定められていなかった。

考察の結果、第2章の「考えられる理由」を「責任者が不在であり、代行者の制度もないため、確認が遅れた」と修正した。次は、この説明が他の問い合わせにも当てはまるかを調べる。このように、考えた説明を証拠と比較しながら、修正と検討を繰り返す分析を説明構築と呼ぶ。また、特定のケースでわかったことから、他の場所や組織にも適用できる説明を導くことを分析的一般化と呼ぶ。


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