Archive of posts from yyyy-05-10

[映画] わたしは、ダニエル・ブレイク

真面目に生きていても、システムの設計が悪ければ人は簡単に追い詰められる。ケン・ローチ監督はずっとこういう主題で作品を作っている。本作で描かれる福祉行政も、国民を助けるためではなく、手続きをルール通りに処理するためだけに動いているように見える。観客が憤りを感じるように、かなり意図的に構成されている。

ただ、キャラクターの描き方には少し引っかかる部分もあった。たとえば、2010年代の社会で「パソコンのマウスが使えない」はあり得ないだろう。いつの時代の話をしているんだ。また、行政の対応が硬直的なのはその通りだとしても、真正面から誠実に対応しているだけでは制度に潰されるのは、容易に想像できたのではないか。終盤に弁護士のような人が出てくるが、最初からそうした人たちに頼ってもよかった。シングルマザーも同様で、子どもを抱えて極度の貧困に陥れば、風俗の仕事に流れる可能性は十分に想像できる。それなのに「魂を売った」かのように描くのは偽善的だと思う。

でもまあ、このあたりを差し引いても、「個人の怠慢」ではなく「構造自体」あることを訴えようとしているのだろう。作中では、「隣人を助ける」「真面目に働く」「ルールを守る」といった古い倫理観を持つ人ほど損をする。一方で、隣人は中国から偽シューズを輸入して、グレーな商売で生き延びている。もちろん映画はそれを積極的に肯定しているわけではない。しかし、制度を真正面から信じる人間より、制度の外側で適応できる人間のほうが生き残れる、という現実が描かれている。

この映画には、明確な解決策はない。最後に残るのは、「正しく生きていれば救われる」という感覚が崩れていく不快さと、壁に名前と主張を書くことしかできない、という静かな絶望である。

[本] 『リーン開発の本質』

散文的でいい話をまとめました形式なのでリズムよく読めないなあ。
でも、ポイントポイントではいいことを言ってる。

ただ、範囲が広い分、底が浅いので、参考文献から別の場所へ飛ぶべき(あ、bliki_jaが載ってる!!)。

メモ

「すばらしいじゃないか!問題を早期発見したぞ」

W・エドワーズ・デミングの「深遠なる知識の体系」と「14項目」。

    1. 恐怖感を持たせない。
  • 10.スローガンや説教、到達目標の使用をやめる。人ではなくシステムを変える。それはマネジメント側の責任。
  • 11.作業者への数値的ノルマをなくす。(システムを提供するということか?)
  • 12.固定給の作業謝意は、毎年の査定をやめる。

決定論的なスケジュールは間違った手法。次の3つのいずれかの手法を使うほうがいい。

  1. モンテカルロ・シミュレーションを使って確実性を上げる
  2. CCPMを使用してプロジェクトバッファを用意
  3. 責任をベースとした計画と制御にする

情報共有と協力が不可欠な場合には、
個人の管理範囲よりも影響範囲に基づいて報酬が与えられるべき。

関係的契約は、製品仕様を契約でうまく記述することはできない、という想定に立っている。そのため、契約内容は、「各社がどのように協業するか、何を提供していくか」に重点を置いている。良好な協力関係ができれば、ドラッカーが言うように、コストは30%程度抑えられる。

関係的契約の例は http://www.leanconstruction.org/ に載っている。

  • CCPMは「依存関係が事前に計画できる」ものに対する解決策に過ぎない*。←それ、もうアジャイルで解決できてるよ。『Agile Estimating and Planning』の17章読め。
[本] 『Agile Estimating and Planning (Robert C. Martin Series)』

先ほど「17章読め」とあったので、読んでみたけど、うーん。

プロジェクトバッファの算出

いきなり公式が出てきてるけど、こういうこと(だと思う)。

前提として、

w: 最遅値(90%)
a: 平均値(50&)
σ: 標準偏差(SD)

と表す。

正規分布時には、95%の値(w)は平均値(a)から2SD(2σ)の距離にあるので(ここでは90%と言ってるけど、無視して)、σは、

2σ = (w - a)
σ = (w - a) / 2

となる。ref - 20080325#p02

また、

σ = √分散

なので、各ストーリーの分散は、

分散 = ((w - a) / 2 ) ^ 2

と表せる。

で、ストーリー全体のプロジェクトバッファも2SDにしたいので、

プロジェクトバッファ
= 2σ
= 2√(ストーリー1の分散)+(ストーリー2の分散)+...+ (ストーリーNの分散)

つまり、

2σ = 2 √((w1 -a1 ) / 2 )^2 + ((w2 -a2 ) / 2 )^2 + ... + ((wN -aN ) / 2 )^2

となる。これを簡略化して、

2σ = √(w1 -a1 )^2 + (w2 -a2 )^2 + ... + (wN -aN)^2

となる。これが、p.195の公式。

[本] 『とことんやれば必ずできる』

よくある「俺が若い頃は」的な本。特に得ることもなく。

それはそうと、日本NCRに入社なさっていたのかあ。へーーー。

[本] 『強いリーダーはチームの無意識を動かす』

胡散臭い本かと思ってたら、冒頭の言葉にシビれた。

今どきの若いスタッフは(中略)怒っても、褒めても、コーチングや、ティーチングも効きません。

なんか言及する人が多くて言うのがはばかられるんだけど、そうなんだよね、コーティングもティーチングもうんこなんだよね。ここが理解できていない本が何と多いことか。これを前提にしているだけでも価値があると思うよ。

でも、この本よりも同じ著者による『なぜ、占い師は信用されるのか?』のほうがいいみたい。チラっと立ち読みしたけど、いかにもフォレスト出版っぽいのと、胡散臭いのは変わりないけど、読んでみてもいいかもなーという感じ。