Don’t Think, Feel とは何か

ブルース・リーが「燃えよドラゴン」で言った有名なセリフであることは言うまでもない。

該当のシーンのセリフは以下のようになっている。リーが弟子に向かって言っている。

Kick me.
(蹴れ)
What was that? An Exhibition?
(何だそれは?見せ物か?)
We need emotional content. Try Again.
(五感を研ぎ澄ませるんだ もう一度)

I said "emotional content". Not anger!
(五感を研ぎ澄ますんだ 怒りではないぞ)
Now try again ... with me.
(もう一度やれ)

That's it. How did it feel to you?
(そうだ 何か感じたか?)

弟子: Let me think...
(そうだな…)

Don't think FEEL.
(考えるな 感じろ)

まず、「感じたか?」と聞いているのに、弟子が「Let me think(考えてみる)」と答えているので、「考えるな 感じろ」と指摘するのは正しい。

が、おそらくそんな浅い話ではない。

字幕では「五感を研ぎ澄ませる」になっているが、原文はemotional contentであり、直訳すると「感情の内容」になる。意訳すると「感情を込めて」だろうか。なので「感情を込めて蹴る」という話かと思いきや、弟子が「怒り」の感情を込めて蹴ると、「怒りではないぞ」と怒られる。なので特定の感情の話でもないらしい。

では、emotional contentとは何なのか?ヒントは「We need」や「try again … with me」の後半にあると思われる。つまり「相手のことまで意識して」蹴れってことになる。相手との「間」と言い換えてもいい。それが「emotional content」であり、それを「感じろ」ってことなんだろう。感情よりも「感覚」が近いかもしれない。

さらにシーンは続く。

It is like a finger pointing away to the moon.
(月を指差すのと似たようなものだ)
Don't concentrate on the finger, or you will miss all that heavenly glory.
(指に集中するんじゃない その先の栄光が感じられないぞ)
Do you understand?
(分かったか?)

これは仏教の教えにあるそうだ。日本では「月を指させば指を認む」という諺にもなっている。何かを教えても、言葉(指)にばかりこだわって、その本質(月)を理解しようとしないことを意味する。

最後に礼をするところでは、弟子が目を離した瞬間に頭を叩かれている。

Never take your eyes off your opponent... even when you bow.
(敵から目を離すな 礼の時も)
That's it.
(そうだ)

この3つのシーンはすべて同じことを繰り返している。つまり、「礼の時に敵から目を離す」「蹴るときに相手を意識していない」「指の先にある月を見ていない」は、すべて同じ失敗なのだ。いずれも、目の前の形式や部分だけに意識を奪われ、自分の置かれている状況全体を感じることができていない。

したがって、「Don’t Think, Feel」は「Don’t Think 細部だけ、Feel 全体」という意味になるだろう。

References