講演料っていくらで依頼すればいいのか

ちょっと思うところあって(まぁ平成仮面ライダー勉強会のことなんですけども)講演料の相場を調べてみました。ここで対象とするのは「個人でイベントを開催する場合の講演料」です。

話が複雑なのはわかっているよ

講演料の話をすると「人はお金のために動くのではないのであって……」云々いうバカに見つかって辟易したりしますけど、「おもしろくない仕事はお金もらってもやらない」とか「知人の依頼なら無料でもやる」とか「主催者やイベントの内容によって値段は変わる」みたいな、各種さまざまな要因が存在することは承知しています。

この点については、東浩紀さんの発言が参考になりました。

「学祭だとお車代1万円のみ」なので、オトナなみなさんはこれ以上は提示したいところですが、余裕もないのに高い金額を提示したり、適当な金額を提示して「速攻で断」わられるのも回避したいわけで、何らかの指針が欲しいわけです。ちなみに金額は先に伝えたほうがいいみたいですよ。

(参考:Togetter -「業界の講演料や原稿料についてのリアルな話。」

無料の話はしないよ

IT業界で広く開かれている「勉強会」だと参加費は無料で、講演者は無報酬ということが多いと思います。私も「ユーザーストーリービギンズナイト」という2時間の講演をしましたけど、ボランティアです。EstherとJohannaのイベントも、無料で開催・講演しました。一部で大好評だった「須藤功平勉強会#01」にいたっては、会場費持ち出しで赤字ですしね(大した金額じゃないけど)。

どれも非営利で個人開催のイベントだったということもありますが、そもそもお金を頂くという認識があまりないんですよね。それが本業だと思ってないからかもしれません。参加費や謝礼などの「お金」を扱うのが面倒くさいという理由もあると思います。さらには、一種の「嫌儲論」に似た何かを感じている人もいるはずです(「会場費以上の儲けが出てはいけない!!」とかなんとか)。

それに対して不満があるというわけではありませんが、その流れを自分で主催した第1回目の「平成仮面ライダー勉強会」にも適用してしまったのは、あまりよくなかったなあと後悔しています。無料で講師を引き受けていただいた宇野常寛さんには大変感謝していますし、そのためにもどうにかして謝礼を払うべきだったと思っています。明和電機の社長の言う「タダではいくことができません」も考えさせられます。

じゃあ、いくらなんだ(1/2)

で、とりあえずはググってみるわけですけども、最初に見つかるのは「講演依頼.com」というサイトです。ここで予算でソートすると、最安値が6万円だということがわかります。仮に事務手数料が20%だとすると、本人の手元に渡るのは約5万円になります。ここが最安値ではないかと仮定しました。※ 講演時間が不明ですが、おそらく1時間なのではないかと想像します。

このことをツイートしたところ、IT業界で講演をされている方々から、最低「2〜3万」という数字を教えてもらいました。ただし、これが一般的な金額かどうかはわかりません。また、あくまでも「最低」の話ですから、それ以上の金額である場合も当然あります。

じゃあ、いくらなんだ(2/2)

そこで思いついたのは 自治体 です。自治体が講師に支払う金額には基準があるのではないかと思い、私の住む杉並区のサイトを検索しました。すると、「杉並区職員研修講師謝礼支払い基準」というページが見つかりました。ここには、1時間当たりの単価として、

A 大学教授、弁護士、医師、ジャーナリスト、著名民間学者 15,000~20,000円

と書かれてあります。ただし、「受講者が100名以上だと1.5倍」となるので、先の「2〜3万」が自治体の価格相応であると判断できます。もちろん、自治体によって価格にばらつきはあると思います。

なお、金額には「0円、5万、10万、20万、40万」という区切りがあるという情報もいただきました。参考までに紹介しておきます。

ちなみに、仮面ライダーXは50万で、さかなクンさんは150万だそうです。このようにすでに値段が設定されている方は、その値段で依頼すべきなのは言うまでもありません。

あとは受講者数と参加費の問題

講演料の目安がわかれば、それと会場費と合わせて全体コストが算出できるので、見込み参加者数から参加費が算出できるはずです。営利目的なら利益を追加してもいいでしょう。

ただ、参加費をとるとなると、「有料にしてまでお客さんが来るのか問題」や「お金を扱うのが面倒くさい問題」が発生します。イベントを開催するからには「でも、やるんだよ!」と頑張るしかないと思いますが、参加費を徴収しない「個人スポンサー」というアイデアを教えてもらいました。

参加者本人ではなく、「必ずしも参加者ではないスポンサー」から事前にお金をいただくというのがポイントです。これはいいアイデアだと思いました。イマドキなら「KICKSTARTER」や日本版の「CAMPFIRE」みたいなサイトで出資者を集めるという手もあるかもしれません。PayPalで寄付してもらうのでもいいかもしれません(あ、個人送金ダメなんだっけ?)。

その他にも、会場で任意の金額を支払う松本人志の「松風’95」方式(懐かしい!!)や、otsuneさんのtumblrにあった「講演料を完全歩合制にする(注:mixi日記)」方式も考えられると思います。ただ、こういうレベニューシェアは100%モメるので、自分はあまりオススメはしないです(最悪の場合、講演料も払えないし)。

結論らしきもの

というわけで、個人で誰かに講師をお願いする場合は、

  • 「2〜3万円(余裕があれば5万円)」でお願いしてみる。
  • それでもダメなら価格を相談する。

を基本構成として、本当に予算がない場合に限り、

  • 「無料」or「交通費のみ」で申し訳なさそうに泣きながら懇願してみる。

という手を使うのが良いと思います。もちろん、余裕があってたくさん支払えるなら、それ以上の金額を出すことを止めるものではありません。講演料と交通費は別という話もよく聞きます。そのあたりは講師とよく相談すべきでしょう。

また、従来の「勉強会」であっても、「講師は懇親会無料」あたりから始めてみるのも悪くはないのではないかと思います。

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